トサツ団は殺人集団だった。
しかし、殺人に成功したことはなく、頓馬の集まりでトンマ団と呼ばれていた。トンマ団に狙われて死んだ者は、トンマ団に殺されたのではなく、事故や身内の怨恨で殺された者ばかりだったのだ。
いかにも潰れそうな殺人集団だが、殺さなくて良いのなら楽なものだと俺はトンマ団に入った。
「では基本をレクチャーする。いかにして自ら手を下さずにターゲットを死に誘導するかだ。それには、事故確率の高い場所に誘導する方法や、身内の憎悪を煽る方法がある」
科学的方法論の勉強のハードルがあまりにも高すぎるので、俺はトサツ団から落ちこぼれた。俺こそがトンマだったのだ。
(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)